双眼鏡の歴史は17世紀までさかのぼり、望遠鏡が誕生したころにはガリレオにより双眼鏡の原型がすでに存在していたといわれます。当時の双眼鏡は対物に凸レンズ、接眼レンズに凹レンズを組み合わせたシンプルな構造でした。視野・倍率共に限られているものの上下反転していない正立像を映し、現在でも主にオペラグラスとして利用されています。
ガリレオが開発した『ガリレオ双眼鏡』に対し、現在の主流となっているのが『プリズム双眼鏡』。その誕生は双眼鏡が普及しだした19世紀に入ってからのことです。イタリアのポロにより、原型が開発されました。ガリレオ双眼鏡との大きな違いは対物・接眼レンズともに凸レンズを使用している点です。
しかしこの状態のままで使用した場合、映る像は上下が反転した倒立像になってしまいます。そこでレンズ同士の間にプリズム(正立プリズム・ポロプリズム)を入れることにより、正立した像を映し出すことに成功しました。これが『ポロプリズム双眼鏡』の始まりです。その後、双眼鏡本体の小型化、さらには性能の向上が行われ、19世紀末にはドイツのアッペによって近代双眼鏡が開発されました。
ちなみに、日本に双眼鏡が登場するのは20世紀に入ってからです。
1911年、藤井レンズ製造所によって日本で最初の双眼鏡が開発され、1917年には藤井レンズ製造所の技術(開発、製造、販売)がニコンに引き継がれました。その後、プリズム双眼鏡はズームに特化したものから、ダハプリズムを始めコンパクト化を追求したものなど、様々な方向で使いやすく高性能に発展し今日までに至ります。